ブログ
11.52015
中小企業倒産防止共済を活用しましょう
独立行政法人中小企業基盤整備機構が行っている共済制度の中に「中小企業倒産防止共済(以下、倒産坊といいます)」というものがあります。簡単に制度のご説明をしますと、自社の経営が健全であっても取引先にもし万が一のことが起きて倒産した場合、その影響を自社が受けることによって連鎖倒産をしてしまう可能性があります。この、連鎖倒産を防止することを目的とした制度で、もし万が一取引先が倒産してしまった場合、回収困難となった売掛金債権等の額と、掛金総額の10倍(最高8,000万円)に相当する額のいずれか少ない額の範囲内において無担保、無保証、無利子で貸付を受けることができ、その返済には6か月の据置期間が設けてあります。ただし、無利子とは言うものの貸付を受けた場合には、払い込んだ掛金から貸付金の10分の1に相当する額が取り崩され、掛金の権利が消滅しますのでご注意ください。
倒産坊に加入するメリット
ここまでは、ふ~んといった感じかも知れませんが、ほかにもメリットがありますのでご紹介します。
- 解約した場合に100%戻ってくる可能性大
契約者が選んだタイミングで解約する「任意解約」の場合、掛金納付月数が40か月以上あれば100%の解約手当金が支払われます。
- 掛金は全額損金
こういった積立て的な性格が強く、しかも解約した場合に返還されるようなものは損金ではなく資産計上のイメージがあるかもしれません。しかし、この倒産坊については法人税法上損金として計上することが認められています。
また、損金経理が要件とはなっていませんので、保険料として費用計上するのではなく保険積立金として資産計上して、申告の際に別表調整することにより損金算入させることが可能です。決算書の見た目もよくなりますし、いくら積立てたかの備忘のためにも資産計上がおすすめです。
(掛金を損金算入させるためには『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』と、損金に算入する額(法人税関係特別措置の適用を受ける額)を記載する『適用額明細書』に必要事項を確定申告書に添付することが必要です。)
解約した場合の解約手当金は益金の額に算入しますので会社の業績を見ながら解約するのも手かと思います。
- 掛金を前納することにより決算対策に活用
掛金の積立限度額(800万円)の範囲内で前納ができます。前納した場合には前納した金額のうち1年分が損金の額に算入されることになります。今年は利益が出そうで、しかもキャッシュに余裕があるならば、来年の分もまとめて払って今期の税負担を軽減しましょう。12月決算法人についてはそろそろ決算対策についても考え始めるタイミングかと思いますので、この制度を活用しては如何でしょうか。
※詳しくは中小企業倒産防止共済のホームページをご確認ください。