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帳簿書類のスキャナ保存を考える①

経理担当者さんの悩みの種の1つとして、領収書や請求書がどんどん溜まってしまい、保存スペースもないので何とかならないか?というものがあるかと思います。最近のプリンターにはスキャナ機能が搭載されているものも多く、領収書や請求書をこのスキャナな保存できないかといった問い合わせも多く受けます。

そもそも領収書や請求書は紙で保存しなければならないのか?

法人税法の規定によると、帳簿書類等は原則として「紙」で保存しなければならないことになっています。保存期間は原則として7年間。ただし、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間、平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、10年間となります。

また、法人税法とは別に「会社法」においても帳簿の保存について規定されています。

第432条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

第435条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。

2 株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。

3 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。

4 株式会社は、計算書類を作成した時から10年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。

つまり、法人税法も会社法でも最長で10年間の帳簿保存義務があることになります。ちなみに法人税法における「帳簿」とは総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳を指し、「書類」は、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書を指します。会社法においても同様の書類を保存することが必要と考えられます。

電子帳簿保存法とは?

これらの帳簿書類を10年間保存するのは、場所も取りますし大変ですよね。そういった納税者の負担を軽減しようとする目的でできた法律が「電子帳簿保存法」です。この電子帳簿保存法の中に「スキャナ保存制度」というものがあります。スキャナ保存制度とは従来、紙での保存が原則だった帳簿書類を一定の要件のもと、スキャナによる電子データとしての保存を認める制度になります。平成27年度の税制改正においてスキャナ保存の要件が一部緩和されましたがまだまだハードルが高いのも事実です。

次回は、このスキャナ保存の具体的な内容を検証したいと思います。

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  1. 2015年 11月 25日
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