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12.72015
簡易課税を選択するかどうか検討しましょう
消費税の税額を計算する方法には、売上に対する消費税から仕入に対する消費税を控除した残額を納付税額とする「原則的な方法」と、売上に対する消費税から控除する仕入に対する消費税を実際の税額ではなく、売上に対する消費税に一定割合を乗じて計算した税額を仕入に対する税額とみなす「簡易課税」の2つがあります。
簡易課税制度を選択するには
簡易課税制度を選択するには、以下の要件をクリアする必要があります。
- 基準期間の課税売上高が5,000万円以下であること。
※基準期間とは、その課税期間の前々年又は前々事業年度をいいます。
- 適用しようとする課税期間の開始の日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していること。
つまり、12月決算法人及び個人について、平成27年度中に事業を開始した場合には12月末までですが、それ以前に事業を開始している場合には、平成28年からの選択をするのか否かを検討しなくてはなりません。
簡易課税制度はどういった事業者が選択するとよいのか
簡易課税を選択するメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
- 仕入に対する消費税が原則的な方法よりも多くなることがある。
仕入に対する消費税が多くなるということは、納付税額が少なくなるということになります。
- 仕入に対する消費税を計算するのがラク
デメリット
- 簡易課税を選択した場合、原則として2年間は「原則的な方法」による計算に戻れない。
事業の種類によって売上の消費税に乗ずる率(みなし仕入率)が定められています。来年度の計画を立てて実際の仕入に対する消費税と、みなし仕入率を乗じて計算した消費税とどちらが多くなるのかを試算することが必要になります。
- 第一種事業(卸売業)90%
- 第二種事業(小売業)80%
- 第三種事業(製造業等)70%
- 第四種事業(その他の事業)60%
- 第五種事業(サービス業等)50%
- 第六種事業(不動産業)40%
簡易課税のデメリットは2年間強制適用をしなければならない点です。簡易課税を選択している場合には、実額での消費税を計算することはできませんので、大規模な修繕や固定資産の購入を予定している場合、実際の仕入に対する消費税は多いにも関わらずみなし仕入率を使用するはめになってしまいます。
簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、不適用届出書を提出しない限りその届出書の効力は継続します。つまり、業績がよく順調に売上が伸びて基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた場合には自動的に原則課税になりますが、逆に売上が減少し5,000万円以下になった場合には、強制的に簡易課税となりますので注意が必要です。