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12.242015
住民税は特別徴収が原則か?
個人住民税とは、前年の所得に対して課される地方税の1つで、1月1日現在に納税義務者の居住する市区町村が賦課徴収を行っています。この個人住民税の納付方法には、6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収される「特別徴収」という方法と、市区町村から送付される納税通知書で、年4回(6月、8月、10月、翌年1月の各末日)に分けて納める「普通徴収」という方法の2つがあります。
企業にお勤めの従業員さんの中には、住民税が給与から天引きされている人と、天引きではなく市区町村から自宅に直接納付書が送られて来るので、その納付書で納付している人がいらっしゃると思いますが、どちらの方法で納付しても当たり前ですが税額は変わりません。では、なぜ会社によって納付方法がことなるかというと、1番大きな要因としては会社の事務処理が増えるからというものが挙げられます。従業員さんからみれば自ら納付しなければならない普通徴収だと手間もかかりますし、忘れてしまうこともあるかもしれません。毎月の手取り金額は減りますが、結局は納付しなければならないので特別徴収で納付してもらった方が楽です。しかし、会社側から見ると、源泉所得税や社会保険料の納付にプラスして住民税の納付もとなると作業が増えますので、やらなくて済むのであればやりたくないといったところが正直な気持ちでしょうか。
法律上はどちらが原則?
市区町村では、ここ数年で特別徴収にかなり力を入れて進めています。総括表が送付されてくる季節ですが普通徴収の事業所に対しては特別徴収を進める案内が必ずと言っていいほど同封されてきます。
(給与所得に係る個人の市町村民税の特別徴収)
第321条の3(()書きはわかりやすくするため削除しています)
市町村は、納税義務者が前年中において給与の支払を受けた者であり、かつ、当該年度の初日において給与の支払を受けている者である場合においては、当該納税義務者に対して課する個人の市町村民税のうち当該納税義務者の前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額は、特別徴収の方法によって徴収するものとする。ただし、当該市町村内に給与所得者が少ないことその他特別の事情により特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村においては、特別徴収の方法によらないことができる。
(給与所得に係る特別徴収義務者の指定等)
第321条の4
市町村は、前条の規定によって特別徴収の方法によって個人の市町村民税を徴収しようとする場合においては、当該年度の初日において同条の納税義務者に対して給与の支払をする者のうち所得税法第183条 の規定によって給与の支払をする際所得税を徴収して納付する義務がある者を当該市町村の条例によって特別徴収義務者として指定し、これに徴収させなければならない。この場合においては、当該市町村の長は、前条第1項本文の規定によって特別徴収の方法によって徴収すべき給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額又はこれに同条第2項本文の規定によって特別徴収の方法によって徴収することとなる給与所得以外の所得に係る所得割額を特別徴収の方法によって徴収する旨を当該特別徴収義務者及びこれを経由して当該納税義務者に通知しなければならない。
従って、これらを根拠として、住民税は特別徴収が原則であると読むことが出来ます。普通徴収と特別徴収という名称もわかりずらいです。給与から天引きするのが原則なのに「特別徴収」です。なんだか逆のような気もしますが…
住民税にも納期の特例があります
所得税同様に住民税においても納期の特例があります。特別徴収義務者で、給与の支払を受けるものが常時10人未満である場合、承認を受けることにより、特別徴収税額を年2回に分けて(6月から11月分の納入については12月10日まで、12月から翌年5月分までは、翌年6月10日)納入することが出来ます。事務処理がどうしても煩雑ということであれば、検討しては如何でしょうか。