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10.192015
今さら聞けない経理処理 課税売上割合とは
前回は、消費税の非課税と不課税の違いについて説明しましたが、今回は課税売上割合についてです。
課税売上割合とは
消費税の仕組みは、受取った消費税から支払った消費税を控除した金額が納付税額となります。受取った消費税が10,000支払った消費税が8,000だとすると、差引2,000を納付することになりますが、これは課税売上割合が100%の場合です。
課税売上割合とは、その名の通り「課税売上の割合」です。計算方法は、課税期間中の総売上高(総売上高には課税売上高、輸出免税売上高、非課税売上高が該当します。)のうちに、課税売上高(課税売上高、輸出免税売上高が該当します。)の占める割合をいいます。つまりは、1年間の売上全体のうちに課税売上高が何%占めていたかを表す割合です。
課税売上割合を計算した結果、100%ではなく80%だったとすると、上記で説明した支払った8,000の消費税全額(100%)ではなく、8,000×80%=6,400が控除できる消費税額となってしまいます。課税売上割合が80%ということは、全体の売上取引の中で課税取引のものは80%。従って、控除できる消費税も全体の80%にしましょうという考え方です。
分岐点は課税売上5億円と課税売上割合95%
では、この課税売上割はどういった会社に影響があるのでしょうか。課税売上割合は、最近の会計ソフトであれば自動で計算してくれます。仕訳を入力する際に「課税売上高」「非課税売上高」「輸出免税売上高」「対象外」という税区分を入力していると思います。この税区分の入力に従ってシステムが勝手に割合を計算してくれています。会計ソフトの消費税関係のボタンのどこかを押すと課税売上割合が表示されると思いますので一度試してみてください。一般的な会社で課税売上割合に影響する非課税売上高に該当するものとしては、預金の利息(受取利息)や社宅制度がある場合には本人から徴収した社宅の本人負担分が該当します。会社契約で社宅を借りた場合、支払時は消費税の非課税仕入(住宅の貸付)に該当し、その一部を本人から徴収した際には非課税仕入のマイナスではなく非課税売上に該当しますので注意が必要です。
課税売上割合が消費税の計算に影響を与える2つのポイントは、「課税売上割合95%」と「課税売上5億円」です。課税期間中の課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円以下の場合、たとえ課税売上割合が97%だったとしても100%控除ができます。課税売上高が5億円を超える場合や、課税売上割合が95%未満の場合には実際の課税売上割合を使用し控除できる消費税額を計算することになります。
※当ブログでは税法をわかりやすく解説することを目的としております。用語や税率その他規定等の詳しい説明は省略しております。