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帳簿書類のスキャナ保存を考える②

昨日は、帳簿書類は紙で保存しなければならないのか?など前提項目を確認しました(帳簿書類のスキャナ保存を考える①はこちら)。今回は電子帳簿保存法の中に規定されている、いわゆる「スキャナ保存」の具体的な内容について確認したいと思います。

電子帳簿保存法(正しくは「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言います)の第4条「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等」に以下のとおり記載があります。

第4条

3 前項に規定するもののほか、保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除く。)の全部又は一部について、当該国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合であって、所轄税務署長等の承認を受けたときは、財務省令で定めるところにより、当該承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該承認を受けた国税関係書類の保存に代えることができる。

つまり、取引の相手先から受取った請求書等について、税務署長等の承認を受けた場合には、書面による保存に代えて、一定の要件の下で、スキャナで読み取って作成した電子化文書による保存が認められることになります。

スキャナ保存をするには一定の手続きが必要

では、スキャナさえあればどんな書類でも今日から保存してよいのかと言うとそうではありません。いくつかのハードルを越える必要があります。

  • 承認申請書の提出

「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請」を承認を受けようとする国税関係書類をスキャナで読み取った電磁的記録による保存に代える日の3月前の日までに所轄税務署長に提出します。

  • タイムスタンプの存在

帳簿書類をスキャナで保存することについて最も懸念されることはデータの改ざんが電子データの場合行われやすい点です。これらの問題をクリアにするために「タイムスタンプ」機能があるシステムを導入することが要件となります。ランニングコストもかかる可能性があり一番のネックかもしれません。

  • 3万円未満の上限が廃止

2015年の税制改正により、従前の「3万円までの契約書及び領収書に係る金額基準」が廃止され、適正な事務処理の実施を担保する規定の整備をし、この規定に沿って事務処理を行うことを要件に3万円以上の契約書及び領収書もスキャナ保存の対象となりました。

今回の税制改正により要件が緩和されましたが、タイムスタンプの導入によるコストと、書類の山によるスペースの減少に伴うコストとでどちらを選択すべきかといったところでしょうか。

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