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小規模企業共済

10月に入りだいぶ涼しくなってきました。個人事業主の方は12月の確定申告に向けて徐々に意識し始めるころではないでしょうか。確定申告時期にバタつかないように予め準備しておく必要がありますが、今日は「小規模企業共済」についてです。

小規模企業共済は独立行政法人中小企業基盤整備機構が小規模企業共済法に基づいて運営している共済制度です。個人事業主の廃業や法人の役員の退職後の生活資金の積み立てを予め行っておこうというものですが、この共済制度の最大のメリットは、その退職後に向けて積み立てたいわゆる「積み立て」であるにもかかわらず、全額が小規模企業共済等掛金として所得控除となる点です。所得税や住民税は、総所得金額から所得控除の合計額を控除した残りに税率をかけて計算しますので、所得控除額が大きくなれば税額を減らす効果があるということです。掛金は1,000円から70,000円の間で500円ずつ自由に選択ができます。一定の場合には、増額や減額も可能です。

小規模企業共済に加入するためには加入資格があります。

  1. 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
  2. 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
  3. 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  4. 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  5. 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
  6. 上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで) 

中小企業基盤整備機構HPより

また、配偶者の事業専従者、法人のみなし役員であっても登記されていない方、サラリーマン(給与所得者)との兼業の方、その他一定の方は加入ができません。

次のメリットは、「前納」が出来る点です。前納とは1年以内の掛金を前もって支払うことで、この支払った額も所得控除の対象になります。今年の業績を予想したところ利益が出そうな場合には、この前納も検討してはいかがでしょうか。12月の最終営業日までに手続きを完了させる必要がありますので注意が必要です。

個人事業を廃業したり法人の役員を退任した場合には、解約手当金が支払われます。解約手当金は、一括で受け取る方法と分割で受け取る方法があります。一括で受け取る場合には退職所得扱い、分割で受け取る場合には公的年金等の雑所得扱いとなります。

デメリットもあります。解約した場合の解約手当金は、納付した掛金の80%から120%に相当する額で、掛金の納付月数に応じて変動します。100%以上の解約手当金を受け取るためには240か月(20年)以上の納付が必要となります。資金繰りが厳しくなり、掛金の納付が困難な場合には、解約するのではなく最小限の1,000円でも納付して加入月数を稼ぐほうが良いかも知れません。

以上、小規模企業共済について簡単にまとめましたが、個人的には所得控除メリットを享受するため資金に余裕がある場合には加入をおすすめします。240か月以内での解約はいわゆる元本割れの状態となりますが、所得控除の税負担軽減とのバランスで検討してはいかがでしょうか。

 

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