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2.162016
中古資産の耐用年数は慎重に
中古の資産を買って事業に使用した場合にも減価償却という手続きによって毎期費用化されます。その減価償却費を何年間で計上するのかという「耐用年数」が税務上は決められているわけですが、新品ではなく中古の場合はどのようにすればよいでしょうか。
大前提は「あとどれくらい使えるか」
中古の資産を買ってきた場合には、当然ながら新品から何年かは他の誰かが使っていたので、ある程度期間が経過しているはずです。従って、新品の耐用年数ではなく、買ってきた資産が「あとどれくらい使えるか」を見積もって耐用年数を決めることになります。
その資産を買ってくる段階で色々と修理や改良を加えた結果、その中古資産の新品の値段の半分以上の修理代等をかけた場合には、ほとんど新品と変わらないでしょという扱いになってしまい、新品の耐用年数を使うことになります。
ですが、例えば中古の賃貸用アパートを買ってきて「あとどれくらい使えるか」なんて素人にはわからないですよね。では、この賃貸用アパートがあとどれくらい使えるかをプロの業者さんにお願いするかといったら結構費用がかかったりしてわざわざ耐用年数を調べるのに高額の費用をかけるなんてできません。この場合は「見積もりが困難」であるため簡便的な方法による耐用年数の見積もりが認められています。
あとどれくらい使えるかわからないから「簡便法」
法定耐用年数の全部を経過した中古資産を買ってきた場合には、その法定耐用年数の20%に相当する年数をその中古資産の耐用年数として使用することができます。よくある話では、木造の賃貸用アパートを中古で買ってきた場合、法定耐用年数は22年と定められていますので築22年以上経過しているアパートであれば簡便法による法定耐用年数は22年×20%=4.4年→4年(1年未満端数切捨て)と計算されることになります。
そもそも耐用年数は22年ですか?
冷静になって考えてみると、これから買おうとしている中古の賃貸用アパートが4年しか持たないなら買いますか?私ならもう少し長持ちしそうな物件を探すと思います。というよりも新品の木造アパートが22年しかもたないなんてこともありませんよね。従ってこれらの話というのは税務上の話であって、課税の公平を保つために法定耐用年数というものが定めてあるわけです。本当はもっと長持ちする物件である可能性が高いと思います。
不動産賃貸業を営む大家さんの中には、この4年の減価償却費を購入する目的で物件を選ぶケースもあるようですが、中古資産の耐用年数を見積もる際には、上記のように順を追って判定する必要があります。ハワイの話ではありませんが、ハワイの物件は比較的築年数が古いものも多くありますが、これらをリノベーションして外装は古いが内装は高級ホテル並みといった物件もあります。築年数だけを見て耐用年数を決めてしまうと、税務調査で思わぬ指摘を受ける可能性があるので注意が必要です。