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12.142015
平成28年度税制改正案のポイント(法人税)
12月10日に平成28年度の税制改正案が発表されましたので法人課税についてのポイントを整理しておきます。
①法人税率の引き下げ
現行の法人税率は、中小法人(資本金1億円以下)と中小法人以外で税率が異なります。中小法人は年800万円以下の部分については税率が軽減されており15%、年800万円超の部分については23.9%という設定になっています。中小法人以外の法人は23.9%が法人税率となっています。
平成27年4月1日以後 開始事業年度 |
平成28年4月1日以後 開始事業年度 |
平成30年4月1日以後 開始事業年度 |
||
中小法人 (資本金1億円以下) |
年800万円以下 | 15% | 15% | 15% |
年800万円超 | 23.9% | 23.4% | 23.2% | |
中小法人以外 | 23.9% | 23.4% | 23.2% |
今回の改正はあくまで23.9%の部分について段階的に引き下げになるといものです。従って年800万円以下の部分についての改正はありません。
②減価償却方法の見直し
建物については定額法、それ以外の資産については定率法となっていますが、平成28年4月1日以後取得の建物付属設備及び構築物については定額法、鉱業用減価償却資産については定額法又は生産高比例法となります。
③青色欠損金の控除限度割合が段階的に引き下げ
青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その欠損金額を繰越すことによって課税所得が生じた事業年度の損金の額に算入されます。中小法人の場合には繰越欠損金の損金算入額に対する控除限度額に制限はありませんが、中小法人以外の法人については全額が控除されるのではなく一定割合を乗じた金額のみが損金の額人算入されます。
H27.4~H28.3 | H28.4~H29.3 | H29.4~H30.3 | H30.4~ | |
平成27年度改正後 | 65/100 | 65/100 | 50/100 | 50/100 |
改正案 | 65/100 | 60/100 | 55/100 | 50/100 |
平成28年4月開始事業年度について改正前の65%が改正案では60%、平成29年4月開始事業年度について改正前の50%が改正案では55%となっている点が異なります。
まとめ
税率を引き下げるかわりに課税ベースを広げるといった考えのもとに近年の税制改正は進められています。税率の変更も所得金額が800万円を超える部分に対してですし、繰越欠損金の控除についても中小法人には影響がありませんので今年も大法人向けの税制改正になるといった印象です。